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此方に走ってくる人間に向かって飛び付き、地面に頭を打ち付けて気絶させる。
本当ならこの後、首筋を咬みきって止めを刺す筈だが、ご主人に与えられた指示は「殺すな」。
魔物の本能に逆らい、俺は人間の上から退く。
その隙にご主人の方へ2人人間が走っていったが、今のご主人に手助けは無用。
俺は俺のやるべき事がある。
赤髪の男は敵を全て行動不能にするのが理想だと言っていたが。
理想だとなぞ言わず、俺と今のご主人が居れば恐らくこの程度の人数は余裕だ。
……ただ、何故かご主人は自信が無いのか、自分を過小評価しすぎの所がある。
「おぉ!!」
喧しい声がして、人間が剣で斬りかかって来た。
…大声で自分の存在をわざわざ知らせるとは。
理解出来ん。
後ろ脚に力を込めて前方に飛び出して、人間の股の下を潜り抜けて旋回。
がら空きの背中に飛び掛かる。
「グワッ!」
地面に叩きつけられて、カエルの様な声を出した人間の肩に喰い付いて首を振る。
「ぎゃああぁ!!」
悲鳴を上げた人間は手に持つ剣を離すと、地面を転がり回った。
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