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近くに人間が居なくなったのを確認し、ご主人が気になりそちらを向く。
「炎劇・壁!」
魔法を使うときにご主人から発せられる理解の出来ない言葉。
それが聞こえ、ご主人の眼前に炎の壁がそびえ立つと、ご主人の姿は見えなくなってしまった。
「アクアランス!アクアボール!アクアエッジ!」
次に人間の声が聞こえると、ご主人の壁に水で出来た様々な武器が当たっては消え、当たっては消えを繰り返す。
あれではご主人から人間の姿は見えないだろう。
そう判断した俺は一目散に人間に走り、飛び掛かった。
『ご主人!』
「ぐわ!!!」
不意に飛び付かれて地面に組付された人間は、俺の口回りの血と爪にべっとり付着した血に、顔を青くさせる。
『貴様、喰い殺されたいのか…!?』
「ひぃ…!」
情けない声を出すと人間は服を着たまま排泄し、腰を抜かした様だ。
警戒しつつ戦意喪失したのを確信した俺は、ご主人の元へ駆け寄る。
2人の人間を同時に相手をして怪我らしい怪我もないとは、流石ご主人。
「凄いなオービィ…」
ふとご主人が俺にそう仰ってくれた。
『普通です』
この戦いで「狩」ではなく「闘い」の難しさを知った。
殺さないのがこれ程困難だとは思わなかったのだ。
残りの人間2匹は武器を構えて遠巻きに位置している様だ。
ご主人の強さを知って警戒しているのだな?
「く、クソッ!」
「コイツら、化け物か!?」
人間がそんな声を出しているのが聞こえた。
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