謎と恋と投身自殺

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僕と亜印さんはシャンプーしながら少し歩いた後、シティホテルと言う肩書きが付いたラブホテルに入った。 僕はこれまで偶に1人で利用している。 バイトで中途半端に遅くなった時や、誰もいない家に帰りたくない時など重宝するのだ。 「先に入るわよ」 亜印さんは一言僕にそう告げるとさっさとシャワールームに入っていく。 僕は何度来ても全く使いこなせないスイッチパネルをボチボチと押し、照明をつけたり消したりしてみる。 やはり訳が分からなくて玄関の灯りのみになってしまったが、まあ別にいい。 暗くても明るくても誰も困らないし、関係ない。 僕は合皮のソファーでごろんと横になり、天井に描かれたメタボリックな天使を眺めながら考える。 いや、考えない。 どうせロクな事にならない。 と、不意に睡魔に襲われる。 僕は眠くなったらなるべく眠るようにしていた。 家族が死んだ事故の後、通院していた病院で「睡眠障害です」と言われて「そうなんだ」とだけ思った事があった。 我ながらかわいくないガキだったな。 酷い1日のシメは予想外に眠れそうな事に驚きつつ、僕は亜印さんのシャワーの音を聞きながら目を閉じた。
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