謎と恋と投身自殺

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窓際の僕の席には半端じゃない日光が差し込み、机に伏せていても汗がじっとりと染み出してくる。 ……気持ち悪い。 「ちょっと……」 「……いやだ」 僕の二日酔いの酒臭ささは昼休みともなったにも関わらず、教室内に充満しているわけで 密やかな罵声を 粛々と 甘んじて受けるコトになる訳である。 ぼんっ と、不意に頭に重量感のある衝撃が襲う。 「臭いんだけど」 いつの間にか僕の机の脇に立っていた亜印さんがペットボトルをどんと乱暴に置いた。 「……ありがと」 「いいよ」 亜印さんは別のクラスの筈なのに、そんなに臭いが伝達してたんだろうか。 いや……それにしても珍しい。というより初めてじゃないだろうか。 放課後の実験以外で亜印さんと言葉をかわしたのは。 「ちょっと亜印さん?香川と仲良いの?」 「そういう訳じゃないけど」 「やめときなよ。アイツ頭おかしいんだよ。学校二日酔いとか有り得なくない?」 我がクラスメイトの親切な女子たちが、恐らくは本当に亜印さんを心配して声を掛けている。 まあ、その通りなので別にいいけど。 「気をつけるわ」 素っ気なくそれだけ言うと亜印さんは自分の教室へと帰って行った。 彼女も友人が多い方では無いが……孤立の理由は僕とはまるで間逆のようで、下級生にオネエサマと呼ばれる程の所謂カリスマ性による近寄り難い雰囲気が理由らしい。 今日に限って言えば『臭い』が理由の僕とは大違いなのだ。 ま、いつもは『怖い』だの『暗い』だの『気持ち悪い』だの、レパートリーには事欠かないんだけど。 『お兄ちゃんはいつ死ぬの?』 ああ~。 もうちょいだろきっと。 そんなには待たせないと思うよ。
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