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「ほんに天然ジゴロじゃな。晴香は。
っと、晴香の所為で話しがずれてしまったな。それで妾の案なんじゃがこんなのはどうじゃ?まず最初に膨大な知識。それから魔法を自由に創り出せて尚且つ自由に使える様にする事。最後に創造と知識による再現の力。
この三つセットが妾の案じゃ♪異論はあるか?ま、あっても異論は許さん!じゃ♪」
ドヤ顔の婆様。こうなったら止まらないのが家の婆様クオリティなんだよな。
「一つ質問。他は何となく分かるけど知識による再現の力ってどういう力なんだ?」
「うむっ!よくぞ聞いてくれた。この力は例えばここに何の変哲もない只の鉄槍があったとする。この鉄槍に魔槍ゲイボルグの特性を再現すればただの鉄槍が魔槍ゲイボルグに早変わりじゃ♪他にも簡易版聖剣エクスカリバーなんぞも簡単に作れるし概要さえ理解しておればどんな能力でも使い放題じゃっ♪更にいえば膨大な知識があるから再現出来んことはほとんど無いしの。」
何だよ……そのチート能力。要するに事柄を知識から再現する事じゃねぇかよ……。創造の力とかおまけみたいな物じゃないか……。
「はぁ……。その三つ以外は「駄目じゃ!」デスヨネ。爺さん、婆様が言った三つとこのままの姿での転生で頼む。」
「ホッそれでいいのかの?」
「ああ。オレに今の婆様は止められないから。」
「うむ。よかろう。力は向こうに付いたら使えるようにしておくからの。さて、ラスト=ラースくん“門番”の役割を果たしてもらえんか?」
「ハ、やっとか。言われなくともそれが僕の役割だ。果たさなくてどうする」
それだけ言ってラストさんはツカツカとオレの横を通り越して五、六歩ほど歩いた所で止まった。そしてクルリとオレの方に振り返った。
「……一つ聞く。お前はその力で向こう側で何をするつもりだ?」
真っ直ぐに視線をオレの目にむけながらの質問。目は口程に物を言うなんて言葉があるがそれはこのことをいうのだろうか。気に入らなければ殺す。そんな意思がオレに向けられる視線にはそれはもう存分に含まれていた。
けれどもオレはその質問に
「世界を旅して見て回るつもりです。」
そう、あっけらかんと答える。
「まったく、心配するのも馬鹿馬鹿しくなるナ。その答えは。」
若干呆れたように言ってラストさんはまた振り返りながら首下にある鍵を吊り下げていた鎖を引きちぎりそのまま突き出した。
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