プロローーグぅぅっ!

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 バイト先は街外れの東側にある『風春(カザハル)』という地域の更に奥の岬にポツン……と建つ家というよりちょっとした平屋敷。勿論の事だがミイねぇ達四人にはバイトの事を伝えてある。こういう事を伝えておかないと後怖いんだよ……。前に伝え忘れた時は二、三日程監禁されたし。 「しっかしどんな人なんだろな?岬の姫様って。」 岬の姫様ってのは平屋敷の主の事。二年前からこのバイトをしているが一度も会った事が無い。オレの大婆様にあたる神無さんに聞いても「誰にも懐こうとせん猫みたいな奴じゃよ」としか教えてくれないし……。 「まぁ、その内会えるだろ。」 と、結論付ける。今はもう少しで見える筈の平屋敷へと自転車を漕いでいる所。 ──ふぁっ……ぶぅぇぇっっくしょんんん!!!!!!── 「んん?なんだぁ?」 何故か空から聞こえた盛大なクシャミが気になって空を見上げたその刹那。 オレは────。      光に………………包まれた。 [recollect.....cut.] 「──光に包まれてどうなったんだ?オレ。」 取り敢えず周りを見渡す。 白──ただ一色の世界。逆にこの世界に存在する物があればその全ては異物に感じてしまう程に。それ程に異常な世界。 ぐるりと見渡して今この世界にはその異物と呼べる物が四つというより四人存在している事が判った。 いや、一つだけ存在している。それは──オレ。オレが此処に存在出来ていること不思議に思える。他の三人は確実に存在出来ていた。  一人はまるで古代ローマに出てくる様な恰好で何故かオレに土下座をしている長い白髪の神々しさを感じる爺さん。二人目は深い碧地に桜と白い蝶が舞っている十二単をきたものすごい怒気を孕んで爺さんの頭を踏み潰す勢いで踏みつけている妙齢の女性。 ──というか家(ウチ)の婆様だ。そうでない事を信じたい所だが。最後の一人は漫画ならゴゴゴ……とでも効果音が出ていそうな位威圧感を放ちながら爺さんを睨み付けている真っ黒なロングコートを羽織りこれまた黒い仮面を付けた白銀の髪の人。 ──この人にはオレの目が可笑しくなっていなければ猫の耳と二本の尻尾が付いている。  
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