あのよる

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昼が、夜を連れてやってくる。 澄んだあなたの目に映るのは、綺羅星 ああ、それは偽りなの?真実なの? 吐く息は白く、微笑みあう頬は赤い。 夜が朝を連れてやってくる。 朝日に目が眩んで瞬きをした。 あなたが消えそうな気がして 袖を引っ張った。 体を寄せあった。 怖いよ、こわい あなたがいなくなるのがこわいの 「大丈夫だよ」 月光の声が朝日のなか、わたしに安堵を与えました。 月光のようなあなたは、わたしから徐々に離れていきました。 「君は月。僕は君がいるからここにいられる」 夜に生きるわたしたち。 朝日に溶けてあなたはいなくなりました。 本当の夜に連れていかれるあなた。 本当の夜はあなたを連れてやってこない。 あなたがいないなら、わたしはいる意味を持たない。 かつてあなたがわたしを月に例えました。 いいえ、月であったのはあなたでした。 もし。あなたの行く先が真っ黒な闇であったなら。 私も連れていってください。 月(あなた)に恋こがれた星(わたし)を。 小さく無力なわたしを、置いていかないで。 涙を流しても。泣き叫んでも。 空のあなたにはもう届かない。 真っ暗な、月のない夜でした。 あなたを削る朝を呪った夜でした。
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