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「泣かないで…」
あなたはそう言うけれど、そんなの無理です。
わたしはあなたを幸せにできたでしょうか。
わたしの頬に優しく触れるあなたの指は、思い出を孕んでわたしの心を抉りました。
幾星霜、あなたはわたしを好いていてくださいました。
「またね…」
次は形も名前も違うでしょう。
わたしは覚えておきますよ。
優しかったあなたを、夜に立ち向かったあなたを。
次も必ずや会いましょうね、愛しいあなた。
さようなら
涙を流すのは今だけにしますから。
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