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「先……生。無事、なの?」
麻実が震える声でそう呟く。
「ああ。コレのお陰でね」
俺はそう言うと、コートのポケットからクタクタになった青いネクタイを取り出した。
「先生」
そう言って俺の顔に触れようとする麻実の手をそっと止める。
「先生もな、色々話たいことはあるけど。とりあえず先に卒業してきてくれないかな? あいにくまだ教師を辞める気がないんでね……生徒とのスキャンダルは困るんだ」
俺がそう言うと、麻実は少しだけ口角を上げ僅かに微笑んだ。
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