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しかし、その均衡を打ち破ったのは私の言葉だった。
「どうして!?どうしてあなた達は何もしようとしないの!?」
「……」
だが彼等は答えない。まるで聞こえてはいないかのように、ピクリとも動かなかった。
「何故、黙っているの……。」
すると、椅子に座っていた男性がこちらに顔を向ける。先程まで俯かせて、その髪で隠していた鋭い眼光をこちらに向けたのだ。
「別に俺達は何もしない訳じゃないさ。出来ないんだ。」
そう答えた彼の言葉に、私は失望した。
私達の仲間は始め、三十人は居た。いや、三十も居たんだ。だが、今はどうだ。たったの三人しかいない。
皆、何も出来ない自分達に苛立ちを覚え、最後には呆れ、この町を出て行ってしまった。
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