嘘の定義

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  日陰を作るように僕を覗き込むのは長髪の女の子。 女の子らしい膨らみのある胸あたりまで伸びた艶やかな黒い髪。大きな瞳に白磁のような白い肌。顔の形にマッチした唇や鼻。陳腐な言い方だが、10人が10人美少女と言うだろう。 かく言う僕も少女の事は可愛いと思う。 絶対に直接は言わないけどね。 「な~にしてんの? 」 長い髪を垂らしながら良く通るソプラノボイスで少女が聞いてくる。 垂れた髪からほのかなシャンプーの良い香りが僕の鼻腔をくすぐった。 「何してるように見える? 」 少女は少し悩む素振りを見せると 「サボってる」 見た男を確実に虜に出来るような笑顔でそう言った。 「うっ」 その笑顔に不覚にも一瞬ときめいてしまい、少し顔が熱くなる。 それを誤魔化すように、そうだよと少女に告げると、少女は再び嬉しそうに笑った。 「やっぱり。サボっちゃダメだよ? ただでさえ少年は成績良くないんだからさ~」 「少女だってサボってるじゃん」 ムキになって思わず言ってしまったが痛い所を突かれた。確かに成績がヤバいのは確かだ。本来ならこんな所で雲を見てる場合じゃない。 話をはぐらかしたくて苦し紛れにそう言ってみたが、返ってくる言葉はわかりきっている。 「だってつまらないんだもん」 あぁ……やっぱり…… 自然とため息をついてしまう。それを当たり前のように言う少女は自信に満ち溢れた表情をしていた。  
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