プロローグ

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 秀二が大谷家を訪問してから早三週間が経った。 潤は高校からの課題を早々に終え、残り少なくなった春休みを満喫していた。 相変わらず頭の片隅で「将来は冬眞の夜伽役」という言葉は反響していたが気にしない事にした。 将来を悲観する暇があるなら、今を存分に過ごしたい。 そんな事を思いながら、ゲームを無言でしていると後ろからぺしんと子気味良い音と共に叩かれた。 「いたっ!」 「潤、ゲームばかりし過ぎよ。ちょっと春菜ちゃんの所までこれを持っていってくれない?」 出来れば今は風間家には行きたくなかった。 かといって上手い言い訳が浮かばず、しぶしぶ風呂敷に包まれた箱を受け取った。 コントローラーを放置していたせいで攻撃を受けたプレイヤーが画面越しに倒れ伏しており、『GAME OVER』と表示されていた。 あと少しだったのにな、と思いながらコンセントを抜きテレビの前から腰をあげた。 流石にあの風間家にジャージで行くのは失礼だろうと思い、ジーパンに白いシャツに黒いセーターを付けたようなトップスを着た。 まだ肌寒さはあるものの吹く風は暖かくなっていた。 もう春は近づいているらしい。
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