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インターホンを鳴らせば、聞き慣れた舎弟さんの声がすぐに聞こえてきた。
大谷です、と言えばちょっと待っててという声がする。
玄関からここまでくるのに、一分以上は掛かることを知っている潤は気長に待つことにした。
「すんません。お待たせして。あ、若から聞ききやしたよ。高校合格おめでとうございやす」
「ありがと。相変わらず広いよねこの家。林さんっていつも来客があったら往復するの?」
へい、と頭を下げたのは風間家の舎弟である林アキラだ。
黒スーツに色付きカッター、赤く染めた髪を後ろに流している、いかにもその道といった風貌だ。
実際、冬眞の右腕とも呼ばれるほどの実力を持っている。その反面、面倒見が良く潤としても頼れる兄貴分である。
「大変だね……玄関、自動ドアにすればいいのに。遠隔操作みたいな感じでさ」
「それは確かに便利っすね」
「でしょ?」
「ところで、潤さんは何用でこちらに?若なら出掛けておりやすが……」
「春菜姉さんに母さんからのおつかい。多分、中身は今日の晩ご飯に林さんが出すことになると思うよ」
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