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先程までの冷たさはなく、欲に濡れた目にぞくりとした何かが背筋をかけぬけた。
「飲んでみろ」
有無を言わせない物言いにふざけるな、と言おうと口を開けたところに指を押し込まれた。
そのまま指で舌を挟まれ、裏側をなぞられる。
「ん……ふぅ」
指をつたい流し込まれた白濁を飲み下す以外に方法はなかった。
「うげ……」
あからさまに顔を顰めた潤を見て秀二が喉の奥で笑ったとき、子気味良い音と共に引き戸が開けられた。
「何してんだよ、あんた!」
目の前を赤が流れ、手を戒めていたものが無くなった。
鼻をかすめた匂いは抹香のようで、ぼんやりしていた頭がすっと冷えていく。
おそらくそれは白檀。
冬眞の匂いだ。
「潤は一般人だ。手を出すな」
潤を自分の背中に隠すようにして秀二との距離を取っていく。
「味見くらい構わないだろう?それに、潤くんも気持ち良さそうだった」
秀二は喉の奥で笑いながら目を細めた。
その目は心底面白いとでも言いたげで、潤はびくりと肩を震わせると無意識に冬眞の服の裾を握り締めた。
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