プロローグ

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女顔のせいか、がらの良くない男にちょっかいを出されることは多々ある。 ただのナンパなら、男と言えばしおらしく散っていくが、最近は男と分かっても近付いてくる男が多いから困ったものである。 とはいえ、身の危険を感じたら相手の股間を蹴って逃げるため、警察沙汰になったことは今までにない。 「えげつない……同じ男としてよく出来るな」 「手を出してくるのが悪い。冬眞だってわざわざ俺に付き合わなくてもいいよ?家、忙しいんでしょ?」 「大丈夫。それに、潤の方が心配だから」 「お人好しだね、冬眞って」 「まぁね」 二人一緒に教室に入れば、私立専願組と自己推薦で合格した組が抜け、空いた席がちらほら見えるようになっていた。 相変わらず、自習にほとんど近い授業を終え、帰る用意をしていると冬眞が傍に来ていた。 「潤、帰ろう」 「あ、うん!」 「そうだ。明日、どうする?」 「一緒に行く。一人だと緊張しそうだから」 明日は高校の一般入試。受かる自信もあまりないが、落ちる自信も無い。 落ちたとしても私立は合格しているから大丈夫といえばそうなのだが。
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