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入試の日から、約二週間が経った今日は合格発表当日。
冬眞と一緒に高校まで行き、自分の受験番号が貼りだされていたのを確認し、互いに喜びあった。
手にはしっかりとお守りを握って。
両親に合格したことを伝えるために足取り軽く帰宅すると、玄関に見知らぬ靴が置いてあるのを見つけた。
リビングから談笑が聞こえてこないところからするとあまりいい雰囲気ではないらしい。
そっとリビングに顔を出せば、父親が眉間に皺を寄せてソファーに座っていた。
母親はタイムセールにでもいったのか、キッチンにも姿は無い。
「潤か。ちょうど良かった。話があるんだ」
父親に促され、ソファーに腰を下ろした。ローテーブルを挟んだ先には冬眞の父親が座っており、良い話じゃないことを確信した。
「潤くんは、我が風間家と大谷家の繋がりを知っているかい?」
「社長さんと秘書、ですよね」
「表向きは、だ。だが、風間家と大谷家は代々引き継がれているしきたりというものがあってね、大谷家を継ぐ者は必然的に風間家を継ぐ者の秘書、及び夜伽をすることになっているんだ」
「それって……俺が冬眞の夜伽の相手をするって事ですか?」
「そういう事だ。頭の回りが早くて助かるよ」
淡々と返される言葉に自分の手が怒りに震えている事に気が付いた。
「ふざけるな!勝手に俺の人生を決められてたまるか……!父さんも何で黙ってるんだよ!」
ソファーから勢いよく立ち上がり、冬眞の父親である風間秀二を見据えた。
「言えるわけないさ。君のお父さんは私に抱かれてるんだからね」
「秀二!子供の前でする話じゃないだろう」
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