351人が本棚に入れています
本棚に追加
麗らかな午後。
カタカタカタ……キーボードを叩く規則的な音が続く。
芙蓉は今日何度目かわからぬ溜め息を押し殺した。
「約束と違わないか?」
「あーうん……ごめんね」
「……忙しそうだな」
「戻る前にしてしまわないとね。明日の朝には華南に戻れると思うんだけど……今日はちょっと無理かな」
「そっちの約束は期待していない」
「え?」
ようやくパソコンから顔を上げ朔は瞬く。
「……休めと何度言ったらわかる?寝ろ!」
「今まで以上に睡眠時間は長い方ですよ?」
「何処が?」
「芙蓉……」
「3時間程で起きているじゃないか」
「睡眠の周期は90分……2サイクルも寝ているのは快挙ですよ?」
「……本当に寝ないんだな」
「そう言う芙蓉こそ睡眠時間短くない?」
「6時間は寝ている」
「そう?」
朔はもう芙蓉から目を離しパソコンの画面に食い入ってた。
「「っ寝ろ!!」」
芙蓉の怒りの声と幸継の激しい突っ込みが重なった。
「……五月蝿いよ、ユキ君」
「じゃかぁーしぃ。寝てろっちゅう厳命と違うかったんか?さっきかて誠センセ診察して帰ったばっかりやろうに」
最初のコメントを投稿しよう!