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「……このままでも良い?」 「朔が休めるなら好きにすればいい」 つっけんどんな口調をものともせずに朔は芙蓉の傍らに身を埋め、小さく小さく身を折り……まるで猫のようにして収まる。 寝苦しくなかろうかといつも心配になるのだが、眠りはじめはこれが朔にとってベストな体勢らしかった。 「朔……」 そっと頭を撫でると朔はくすぐったそうに笑う。 時折。 本当に時折。 朔は芙蓉にしか見せない顔を見せるときが出てきていた。 寝顔を見せることがその筆頭と言えたが、笑顔のバリエーションの多さには驚きを隠せない。 「……やっぱり芙蓉の手気持ちが良い……」 芙蓉の冷たい手を掴み頬にあてがわせると、それをそのままに朔は早くもうとうとし始めていた。 これの何処が眠れないんだ?と、思わず疑わずにはいられないほどに朔は芙蓉の傍では熟睡出来ている。 そもそも初対面で首筋に刃をあてがったというのに……そんな私は信用に足るのだろうかと芙蓉は若干不安を覚える程に朔は本当に深く深く眠る。 朔の温もりを傍らに感じながら、芙蓉もいつの間にか眠っていた。
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