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今に始まったことではないが、華南というセキュリティに長けた箱庭の中ですら芙蓉は命を狙われた。 それが許せない朔は芙蓉さえ許せば付いて回る勢いだ。 「寝ろっ!」 芙蓉は洗濯物を取り入れて戻ってくるなり二人の姿を認め、忠告を重ねる。 「あ……芙蓉」 「ユキも寝かせる気があるなら談笑するな」 「あ……完全、とばっちり」 「……ったく」 目を離せばすぐにこの調子だと言わんばかりに芙蓉は朔を軽く睨む。 まるで悪戯がばれて叱られた子どものように朔は悪びれず、へらっと笑い誤魔化しにかかるが芙蓉はそれにイラっとし、てしっと朔の額を叩いて牽制する。 「昼餉はどうするんだ?」 「あーもうそんな時間ですか」 「朝はろくすっぽ食べてないんだから少しは口に出来るものを教えろ」 「んーじゃあ、うどん」 「わかった」 「って……芙蓉が作るんかい?」 「世間一般的なものなら何とか作れるからな」 芙蓉は事もなげに言うと、てきぱきと畳んだ洗濯物を片付け、立ち上がる。 「ユキは?」 「は?」 「食べたいものは?」 「うどんに合うものやろ?おいなりさんかなぁ」
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