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「なるほど」
やってみようと芙蓉は台所に姿を消した。
「……なんでも出来るんやな」
「必要に迫られて出来るようになった口でしょうけどね……僕と一緒で」
台所からは例によって例のごとく男前な音が鳴り響く。
幸継は驚き反射的に朔を見るも朔はただ笑うばかり。
意味がわからず台所をそっと窺うと芙蓉は無心に葱を切って……もとい……叩き切っていた。
日本の包丁は力を込めなくても滑らせれば切れるというのに。
「朔」
「ん?」
「包丁の刃すぐにあかんようになるで?」
「まあそれはおいおい覚えていただこうかなぁと」
「早い方がええわ」
「何で?」
「あの勢いで振りかぶってやで、誤って添えた左手切ったらどないや?」
目もあてられへんわと呟く幸継。
朔はサーっと顔色を変え、台所に消えた。
30分後。
芙蓉は思いの外手際よく注文した品をテーブルに並べてみせた。
牛すじうどんにおいなりさん、そうして牛蒡のサラダ。
まるでちょっとした定食のようだ。
「美味しそう」
「熱い内にどうぞ」
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