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朔は首を横に振った。 冷めはじめた紅茶を一口飲み、答える。 「短い間だけど滞在している気配を何度となく感じただけ」 「監視されとうと?」 「そこまで露骨に近付いちゃいないですけどね」 「……見つけ次第殺すで?」 「結城はそなたに見つかるようなへまはしないと思うけど……万一遭遇したらむやみやたらと殺そうとせずに退けて?」 「ぬるい!」 「技術はそなたと互角だと思う……ユキに限って負けるようなことはないだろうけど、そなたに何かあったら僕は綾乃様にどう申し開きをすれば良いのかわからないですから」 「御庭番のさだめや。んなもんお前が申し開きする通りはあらへん」 「裁可の跡継ぎはそなただ。後進の者の育成もあるでしょう?」 「お前に心配されんでも俺になんかあったら貴継(タカツグ)か、親父が養子でも取るやろ」 「…………」 「兎に角……お前が何言うても、結城がおかしげなことしでかしよったら、問答無用で切って捨てるさかな。」 「…………はい」 朔は諦めたようにゆっくりと顎を引いた。
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