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「冷たい水を持ってくるので寝ていて下さいね」
「……皆様お揃いのようだが……何時?」
春香だけではなく、日和や伶もいることに気付いた芙蓉は朔に問う。
「まだ7時です」
「……もう7時!?」
いつも6時には御起床の芙蓉は驚き、がばっと勢い良く身を起こし、ベッドから抜け出す……が。
「え……」
「芙蓉!」
身を傾がせる芙蓉を朔が慌てて腕を絡げる。
「……大丈夫ですか?」
「……地が揺らいだ」
ぱちくりと瞬く芙蓉。
朔は春香に見せつけるように嘆息し、宣言した。
「以降、芙蓉に酒を強要したら怒りますから、そのおつもりで」
「まあ……面白うない。弱いんね」
「まだ十六にもなっていません。アルコール度数も可愛いげのないものを含ませていましたよね?」
「朔は堅いわ」
再びベッドに戻らせた芙蓉に朔は冷たい水と酔い醒ましの薬を手渡し含ませる。
「シャワーを浴びたときは平気だったのに……」
何だか納得がいかない芙蓉は伶を見やる。
「伶は強かったんだな」
「留学先では随分嗜んだもの。少々のことは大丈夫よ」
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