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◇◇◇
赤レンガ倉庫爆発から二時間後の夜八時。
突然の拉致騒ぎのせいで作戦に狂いも生じ、おまけに赤レンガ倉庫爆発という最悪なシナリオを目下並走中。
このまま『黒い獣』や『バベルの塔』の意味が解明できなければ第二第三の被害が拡大するわけだ。
せめて国民的人気アニメの主人公のように『頭脳は子供、体は大人』になりたいね。
ん? 逆でした。これだと今と全然変わらないね。
ホテルの一階エントランスで俺は考えを巡らせるが、どうにも疲労がピークです。
ソファーにもたれかかっていると、エレベーターから夕凪さんと夕凪さんと同じ隊員服を着た見知らぬ女性がやってきた。
「こんばんは嵯峨さん。少しでも休んだ方がいいですよ。今は別動隊の方が爆弾捜査にあたっていますから」
ウグイス嬢顔負けの美声で優しい声をかけてくる夕凪さん。僕には貴方が女神に見えますよ。
「この銀髪君が例の?」
となりの女性が何やら確認するかのように夕凪さんに尋ねている。
例のって、もしかして俺は噂になってたりする? サイン色紙用意しとけば良かったな。
なんて冗談を脳内で回転させていると、
「私は新城ともえ。悦子と同期で別動隊リーダーだよ。宜しくねガッ君」
ガッ君きたぁ!
聞き慣れない呼び名だが悪くはない。
きゅうりさんもこれくらい愛嬌があれば文句無しなんだけど。
俺は差し出された右手に握手で応じる。
「若輩者ですが宜しくお願いします」
「まあまあ謙遜しちゃって。君、本当にシルバーブラッド? 何だかポカポカした雰囲気だから信じられないよ」
どうやらこの方は俺の黒歴史なるものをきゅうりさんから聞いているらしい。
どうか忘れて欲しいなと思いつつ、二人を向かいのソファーへ促すことを忘れない。
ともえさんことモエさん(思いつき)はソファーに座り、警備で立っていた隊員を呼びつける。
「三人分のコーヒーとガッ君の為に軽食一つ持って来ておくれやす♪」
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