第1章 1幕

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―1年と6ヶ月前― クイト自宅 ギィィィ 木製の古いドアを軋ませながらが屋内に入る男がいた。 「おいルイス、お前今日誕生日だよな、確か。」 それがクイト。 バタン ガチャ 「あぁ、お帰りクイト。え、誕生日?あぁそういやそうだね。16歳だ!!」 そう、この日はちょうどルイスの誕生日だった。 「何やら王族直務部隊の人員が急に減ったもんで、人手を探してるそうなんだが。」 「急に減った?なんかあったのか?」 「そんな、詳しくは知らねぇよ。上に優秀な人材を探してこいって言われただけだからな。」 「マジか、やばいな、ついに俺も魔術が使えるようになるのか?!くぁぁぁ、楽しみだなぁ。」 喜ぶルイスを横目に クイトは続ける。 「あぁ、いやすぐには使えないんだ。って言うか、お前そんなことも知らないのか。」 「悪かったな。」 「まぁ、良いさ。」 テーブルの上の篭からポトルという魔果を取って、口に運ぶ。 「わっ、すっぺぇ。買ったばっかり??」 「え、どうだろう。隣のりんごは昨日買った奴だけど。あ、違う。それ多分痛んでたかも。ジャム作ろうと思ってたから。」 「ってこたぁ、お前、これ。」 「そうだね、半分腐ってたと思うよ。」 ルイスが言い終わるか終わらないかのうちに、クイトはバタバタとトイレに駆け込んだ。
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