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桜舞う季節、春――…
別れの季節でもあり、
また、出会いの季節でもある。
ジャンジャカ ジャンジャカ♪
物が少なく、シンプルな部屋に飾られたモノクロの時計…
その針が午前7時を指す中、部屋にはアコースティックギターの音が響いていた。
「…やっぱここはストロークよりアルペジオで弾いた方が…永希(エイキ)に連絡だな…」
部屋で1人呟きながら、嵐は楽譜にメモを書き込む。
「おい、嵐!
お前今日入学式だろ!
朝っぱらからギター弾いてないでさっさと準備しろよ!」
「……わかったよ」
嵐の隣の部屋にいる嵐の兄、廉(レン)が叫んで言った。
嵐はしぶしぶと制服に着替えて、部屋の下の階にあるリビングへと降りていく。
「おはよう、嵐」
リビングに入ってきた嵐を母、留奈(ルナ)は笑顔で迎える。
「はよ…廉は?」
「今出て行ったわよ?
なんでも、サッカー部は入学式の準備をしなくちゃいけないみたい」
「…あ、そう」
嵐はテーブルに着き、用意してあったフレンチトーストを食べた。
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