4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ?あともう一人は?」
「あー、航はちょっと遅れてくるらしい」
「そうなんだぁ。なら先入ってこうね。」
綾ちゃんと話しかけた男の人を先頭に店内に入っていった。皆盛り上がりながら他の人達も後に続いて入っていった。
私は一歩遅れつつも、取り残されるのは嫌だから急いで後に続いて入る。
男女混合で席に座っていく。両側均等に座っているので私はどちら側に座ろうかと困っていたところ、茶髪の男の子が声かけてくれた。
「あっ、こっちどうぞ。」
「ど、どうも」
男の子と話すことなんてどうしてもの用事以外小学生以来だ。
「はじめまして。俺、斎藤柾紀。」
「えっと…落合千尋です。」
「なら千尋ちゃんで。
俺のことはなんて呼んでもいいよ。」
なんでもいいって言うのが一番困るんだけどな……
斎藤くん?
いや、あっちは千尋ちゃんって呼ぶんだから…
柾紀くん?
一番無難な気がするな。
呼ぶにも呼べない。恥ずかしいんだけどな…
どうしよう
「な、なら柾紀くんって呼びますね。」
「ははっ」
?
「もっと違うのがいいですか?」
「いや、違うくて」
そう言いながらも笑い続けている。
「な、ならなんでしょうか」
恥ずかしくて目が熱くなってくる。
「ははっ、ごめんごめん。泣きそうにならなくてもいいのに」
「いや、泣きそうになんかなってませんよ。」
.
最初のコメントを投稿しよう!