♯02

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それにしても……よく話せた私。 「千尋っ、曲入れなよ!」 柾紀くんの向こう側にいた麻衣が声のボリュームを落として聞いてくる。 「無理無理。それよりなん「その話しは後で。ね?」 文句言おうとしたがすぐにその言葉は消されてしまった。 後で言ってやるもん……。 不満を抱えながらも柾紀くんの歌はなかなか上手かった。 曲を終えて、再び私の隣に座った。 「千尋ちゃん、俺の歌どうだった?」 「上手でし…上手だったよ。」 「ありがとー」 敬語抜けない……。ていうか慣れる日なんてくるのかな。 「曲入れないの?」 「私は聞くのが好きっていうか……恥ずかしくて歌えない。ごめんなさい」 「ま、男と話すの苦手なんだから歌えないよな。」 うんうんと頷きながら一人で納得している。 「はははっ…… 今日こうやってカラオケに来ると思ってなかったし」 「えっ!?知らなかったんだ」 そりゃ驚くと思うよ。自分もこうやって柾紀くんと話してること自体ビックリしてるし。 「でもこうやって今日千尋ちゃんが来てくれたから俺達仲良くなれたし、そう思えばよかったかもー。」 「男の人こんなに喋ったの小学生以来くらいだよ。」 「すっげぇな!! またこうやって遊べたらいいな。」 「そうだね。」 二度目があるのかぁと思いつつも答える。 「アド交換してほしいんだけど、いい?」 悪い人じゃないのは分かるから私はOKした。ま、そんなにメールするわけじゃないと思うし。 ……人生初の男の人のアド。あ、父親は入ってるけど。 「よっしゃ、ありがとー。 メールするから」 「うん。」 私はお手洗いに行きたくなったから、ちょっと外出てくると伝えて席を外した。 .
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