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個室に真綾と二人きり。
病院独特の匂いに混ざって、僕の鼻をくすぐる真綾の甘い匂い。
枯れ果てた筈のマグマが沸騰しはじめる。
どうやら僕に限界はないらしい。
『で?マーは何したらいいの?』
え?
う~~~~~ん。
僕としては、ただここに居てくれるだけでいいんだけど…
『…ぇ…と………じゃぁ…リ……リンゴ………むいて…くれる………?』
昨日、ママンが着替えと一緒に持ってきてくれたフルーツ盛り沢山なカゴからリンゴを取り出した。
ピーピーピー
『はい。どうされました?』
『りんご剥いて。』
『…………え…?』
きゃぁああああ!!
ナースコール!
『すいません!間違えました!』
真綾…。
ナースコールで【りんご剥いて】って、たぶん前代未聞のムチャブリだよ。
『なんだよ。』
真綾がナースコールを取り上げた僕を睨む。
『…ぁ……ナースコールは…その………もっと…緊急の…時に………』
『もっとハキハキしゃべれ!男なら堂々としろ!イライラすんだよ。次にオドオドしゃべったら二度と口きかないかんな。』
え?
なんか怒られた。
『はい!わかりました!』
僕は幼稚園児ばりに元気よく答えた。
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