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売店から戻ってきた真綾の手には、大量にお菓子が詰め込まれたビニール袋が2つ。
まぁ、病院ってヒマだしね。
『あぁ~、疲れた。はい。』
ドサッと僕のベッドの上にビニール袋をのせ、中からカルピスを取り出し僕に差し出した。
『ありがとう。真綾。』
うん。
普通に…普通に。
会話がない。
いや。
僕は別にいいんだ。
こんなに近くで真綾のこと見てられるから。
でも真綾はヒマじゃないのかなぁ??
『えーちゃぁぁあん♪ママ、お仕事休んできちゃったぁ♪』
ママン!?
だから矢沢みたいに呼ばないでってば。
『あ、どーも。』
ペコリと挨拶をする真綾。
『昨日も来てくれてたわよね。もしかして、えーちゃんの『違います。』
ママンの言葉を遮り完全否定。
『うふ。可愛い娘ねぇ。こんな可愛い娘がえーちゃんとお友達になってくれるなんて嬉しい。』
ママンがニコニコ笑う。
真綾は少し不服そうだがさすがに【違います】とは言えなかったみたい。
『ママ、僕なら大丈夫だよ。社長なんだからちゃんと仕事しなきゃ。』
せっかく真綾と二人きりなのに邪魔しないでよぉ。
『おばさん社長なの?』
真綾がビックリした顔をした。
確に、僕のママンは女社長って感じじゃない。
女社長ってさ、キリっとしててスーツとかサラっと着こなしてるイメージがあるじゃない?
僕のママン、ゴスロリ一歩手前のフリフリピンクな服。
年よりは若く見えるといっても、さすがにキツイ。
『パパとえーちゃんがニートだから、おばさんが頑張らないといけないの。』
『………。』
パパがニートとか言われて真綾が返事に困ってる。
そりゃ困るよね。
『お前、がんばれよ!こんな可愛いお母さんをコキ使うな!働け。』
真綾に背中をバシっと叩かれた。
『ぶごっ……はい。』
カルピスが少量、鼻から飛び出た。
『汚なっ!』
すんごい嫌そうな目で僕を見る真綾。
鼻から白いの垂らす僕。
そんな僕たちを嬉しそうに微笑みながら見つめるママン。
幸せって、こんな色?
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