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あぁ~~。
緊張するなぁ。
『まもなく2番ホームに列車が参ります。』
急がなくては!!
僕は意を決して彼女の前にさりげなくドス黒ピンクなハンカチを落とした。
10メートルぐらい離れて、ドキドキしながら少しだけエイドリアンの方を振り返ってみた。
まぁ、なんということでしょう。
エイドリアンは全く気付いていないのです。
そして電車は到着。
僕の宝物のハンカチをふんずけエイドリアンは電車に乗り込んでしまったのです。
僕は慌ててハンカチを拾い、その電車に乗った。
彼女と同じ車両………
通勤通学ラッシュもとっくに過ぎた車内はガランとしていて、鼻の穴をおっぴろげればエイドリアンの匂いがかげそうだぁ。
しかし、そこはグッと堪えた。
いつエイドリアンの視界に入ってもかまわないように、僕はナイスな顔面を更にキリっと好青年風に力を入れた。
でもエイドリアンはケータイとにらめっこ………
どうせなら僕とにらめっこしてくれればいいのに。
僕はなにげなく、さっきのハンカチに目をやった。
ややっ!!
これはエイドリアンの靴跡ではないか。
思わぬ収穫を車掌に感謝しながら、ただただエイドリアンをみつめたんだぁ。
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