3人が本棚に入れています
本棚に追加
あの頃、私は中学二年生だった。部活は特に何かをするつもりもなく無所属で、成績も上位で悪くなかった。友達も沢山いて、毎日が楽しかった
けど、胸の中では一つ、ぽっかり穴が開いているような感じだった
何をしても、この穴が埋まる事は無かった――
・
・
・
「月陽さん。帰りましょう?」
「ん、そうですね。行きましょうか、白羽さん。」
夕暮れ時、帰りの電車に合わせる為に自習をしていた私に声を掛けたのは親友の『白羽 茜』さん。小学校からの同級生
「えぇ、それにしても……よくそこまで集中出来ますね、放課後は騒がしいというのに。」
「慣れればそうでもないですよ、それに……」
「?」
「これ、付けてますしね。」
「あー……」
白羽さんに見せたのは耳から外したイヤホン。校則で持ち込みは禁止されてはいるけど授業中聴くつもりも無いのでこうしてこっそり持ち込んで放課後のパートナーにしている
「意外といけない子ですね。」
苦笑
「ふふ、そうですね。」
苦笑
さてと、丁度荷物も纏め終えたし帰ろう。今日は届いているかな、アレ
.
最初のコメントを投稿しよう!