朱城来奈(アカギライナ)の話

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「…ソレ、何読んでるの?」 「……。」 思い切って話し掛けた時、アオは読んでいた本越しに私をじっと見つめた。睨んでいたのだろう、周りには他にも彼女に興味を示したクラスメートが沢山居た。 アオはその全てをめんどくさそうに受け流して本を読み耽っていた。 「…ん。」 「お?…侍SPのノベライズ!私も持ってる!」 アオは当時私の好きだった、人気急上昇中のマンガの小説を読んでいた。 アオは意外そうな目でぱちぱちと瞬きをする。 「…知ってるの?」 「もちろん、全巻あるよ。」 「ホント!?」 「う、うん…。」 それを聞いたアオは、もう私以外に目もくれず語り出した。 話を聞くと漫画家志望らしく、ノートも見せてくれた。 「う、わ…上手い。」 「あ、ありがと…。まさか転入早々見せれる人が居るとは思ってなかった。」 アオはそう言うと、照れ臭そうに少しだけ笑った。 「私朱城来奈ね!」 「朱城か ………アカでいい?」 「アカと…アオ?」 「ぶっ!」 「これはキタんじゃね?」 「なにがだよ…ぶふっ!」
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