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「・・・い!・・・ぉぃ。ヵィっ!・・・カイッ!!」
遠くの方で愛しい声が聞こえる。
その声にカイは閉じていた瞳をゆっくりと開ける。
「おい、起きろって!先生きてるぞ!!」
「ゆう・・づる・・・?」
まだ寝ぼけているのだろう。
カイは夕鶴をまじまじと見つめる。
そんなカイに不振を感じたのか、夕鶴が顔を歪めて言う。
「どうしたんだよ?まだ寝ぼけているのか?」
そう、夕鶴が言った瞬間だった。
「夕鶴ぅ~!!」
「うわぁっ」
がばっ、と、夕鶴を抱きしめる。
あまりの恥ずかしさに夕鶴は抵抗するが、
寝ぼけているとは言え、カイの方が力が強い訳で・・・・。
夕鶴は困ったかのような顔をする。
「夕鶴!俺、お前のこと絶対に幸せにするからさ!」
「は、はぁ?」
「だから、元気なチビ産んでくれよ!!」
「な、何言ってるんだよ?・・・・・・ってか、放せっ!・・・おい!カイっ!!」
起きたかと思えばとんでもない事を言い出すカイに
夕鶴は驚きのあまり暫く黙り込んだが、
周りの視線に恥ずかしくなったのか、流石に夕鶴も怒り出す。
しかし、寝ぼけているカイはそんなの気にも留めない。
が――・・・・。
「いてっ」
行き成り後ろから頭を何か硬いもので殴られ、カイは頭を押さえる。
そして、その衝撃で漸く目が覚めたのか、カイは先程の衝撃は何なのかと、後ろを振り向く。
すると、筒状に丸めた教科書を手に怒りの笑みを浮かべた国語科教師・岡田の姿。
「あ、先生・・・おはよう御座います」
「「おはよう御座います」じゃないだろう!深波、お前廊下に立ってろ!!」
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