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「……自分が下敷きになろうとはしないところが、雪らしいですよ」
悠は良くも悪くも感心したように言い、例の赤いお守りを東吾の手に押し付けた。東吾が良かったー、とさっきまでの恨みがましい顔はどこへ行ったのか、素直に喜んでいる。
「……人を助けたいと思うなら、一番上手くいく方法を冷静に考えないと。自分の自己満足じゃなくてね」
素っ気なく言ってから、雪は何か思い出したように梨歩の顔を見た。
「これは、相沢さんのだよね?」
渡されたのは、東吾のお守りと同じぐらいの大きさをした、ピンク色の小さな袋。中身は、祖母から貰ったあの石だ。
「……ありがとう……ございます……」
「どうも。大切な物なら、そこの馬鹿みたいに無くさないようにね」
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