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大きな声と、断固とした態度は、梨歩にしてはとても珍しいものだった。
三人はしばらく目を丸くして彼女を見詰めていたが、いつもとは逆のパターンで、梨歩に引っ張られるようにお守りを探すことになり、教室の中を一通り見た後は、東吾の今日行った場所をたどることに(梨歩が)決めた。
何か思い詰めたような顔で先を歩く彼女に、三人組はただ首を傾げるしかない。
「…………相沢ちゃん、今日はやけにアクティブじゃね?」
「……というか、人の事なのにあんなに必死に探して……何かあるんですかね?」
「どうせ『ばあちゃん』辺りの言葉が引っ掛かったんじゃない?お人よしだから」
「ああ、そういえば東吾のお祖母さんって……」
ぴたり、と足音が止まって梨歩が後ろを振り向いた。小声で色々と喋っている間に、大分距離が空いてしまったらしい。
「……あの」
「あ、ごめん!相沢ちゃん今行く!!ほら、お前らも!」
「……僕達が君の探し物に付き合ってるの、ホントに分かってる?」
そう言い合いながら慌てて追いかけてくる三人が何だかおかしくて、梨歩は柔らかく微笑んだ。
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