それはきっと宝物

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「……私が行きます」  梨歩が言うと、東吾は驚いたように聞き返した。 「相沢ちゃんが!?」  駄目だって!危ないから、と押し止めようとするが、横から雪が冷静に口を挟んだ。 「……適任だと思うよ、体重一番軽いだろうし。まだ実現可能な案。まあ、高所恐怖症の相沢さんがどこまで頑張れるかは疑問が残るけど、本人が言い出したんだからね。 ……それに、あの猫だって東吾みたいなゴツくて暑苦しい奴が来たら怯えるよ」 「…………雪、今俺のグラスハートが音たてて割れたんだけど」 「勝手に砕け散ってれば?燃えないゴミで出してやるから」  雪の血も涙もない返事に東吾は泣き崩れて動かなくなった。悠は呆れ果てたように何も言わない。 ……本当に、この3人は友達なんだろうかとたまに疑問になる。まあ、それでも一緒にいるからこの3人なのだろうけど。  結局梨歩が登り、下で三人が待機……悠と雪が言うには、東吾はもし落ちた時のマット代わり要員らしい……ということに決まった。 .
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