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フワッと、海風が吹き、いつも絵里奈が着ている青いワンピースのスカートと、
長い絵里奈の黒髪が風に遊ばれる。
そんな光景に、彩の心の隅では「不安」が渦巻いた―――・・・・。
しかし、その「不安」が一体何に対しての物なのかは、彩には解らなかった。
だけど・・・・
一つ解るのは・・・・
突然、絵里奈が何処か遠くへ行って消えてしまう・・・・。
そんな気がした―――・・・・。
「絵里奈!?」
「・・・どうしたの?」
不意に、彩は絵里奈の名を呼んでいた。
当の絵里奈は、キョトンとした顔で彩の顔を見つめる。
そんな絵里奈に彩はやはり思い過ごしだと、心を落ち着かせた。
「あ・・・。なんでもないの・・・・ごめんね」
「?う、うん・・・・あ!」
「?」
何かに気が付いたかのように絵里奈が海水から上がる。
そして、砂浜へ足を向けると、絵里奈が何かを拾った。
「どうしたの?」
「うん。ほら、これ」
彩の問いに絵里奈は笑顔で手の平にあるの物を見せた。
そこには、綺麗なピンク色の貝殻が二つ・・・・。
「うわぁ~。綺麗」
「でしょ?」
そういうと、絵里奈は彩の右手を取ると、その右手に貝殻を渡す。
「え?」
「一つはね、彩の分」
「有難う。大切にするね」
「うん。後で小さな小瓶に入れておこうよ」
「そうだね」
そんな他愛も無い会話。
しかし、突然絵里奈の顔から笑顔が消えた。
そして、彼女は悲しそうな声で彩に問いかけた。
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