海での思い出

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「ねぇ?彩・・・・」 「うん?」 「もしも・・・もしもね・・・・」 「うん?」 彩の返事に絵里奈は少し躊躇いながら、口を開いた。 「もしも、自分が、もうじきこの世から消えてしまうとしたら・・・・彩は如何する?」 「・・・え?」 ドクンッ――・・・・ と、彩の心臓がはねる。 彩の中で先程感じた「不安」が蘇る。 「ただの思い過ごしだ・・・」そう、思っていたはずなのに・・・。 「不安」はどんどん強さを増す。 「ど、どうしたの?絵里奈・・・今日なんか変だよ?」 「答えて・・・・彩」 今にも泣きそうな・・・・そんな顔で辛そうに口を開いた絵里奈に、 彩は答えを出してあげることは出来なかった―――・・・・。 それでも、彩は懸命に「答え」を探した。 そうしなければ、絵里奈が消えてしまう・・・・・そう、思ったから。 「私は・・・自分がこの世から消えるのも嫌。 でも、他の大切な人が消えるのも絶対に嫌!」 「彩・・・・」 「私は・・・あたしは・・・・絵里奈を絶対に死なせはしない! ・・・もしも、神様が絵里奈をこの世から連れて行こうとするなら、 私は必ずその神様を追っ払ってみせる!!・・・・だから・・・・」 「・・・うん」 「だから、絵里奈・・・・明日にでも直ぐに死んじゃうような事、言わないで・・・・」 彩の言葉に絵里奈が優しく微笑み、言葉をかける。 「有難う・・・・彩は優しいんだね・・・」 「え、えり・・・な・・・?」 すぅっと、絵里奈がどんどん見えなくなってゆく―――・・・・ 「絵里奈っ!?」 「ありがとう・・・・・彩・・・・」 『サヨウナラ――・・・・』 「絵里奈っ!!!!」 「絵里奈ぁぁぁぁぁ!!!!!!」 消えていく絵里奈に彩は彼女の名を叫んだ。 その彩の叫びももう絵里奈には届かない。
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