海での思い出

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□■□■ 「っ!」 ガバッと、彩が飛び起きた。 「!ゆ、夢・・・・?・・やだ・・・・私ったら・・又、こんな夢を・・・・」 重たい溜息を吐き、彩は頭を押さえる。 最近、ずっと、同じ夢ばかり見てしまう―――・・・・。 あの海から帰ってきてから一週間・・・・。 絵里奈が高熱を出し、入院をしてからずっと――・・・・。 ずっと、毎日同じ夢を見続けた――・・・・。 暫く彩はベッドの上で何も考えずにいた。 フッと、ベッドサイドの時計に視線を向ける。 今の時間は、朝の10時を回ったところ―――・・・。 昨日は本を読んでいて、寝るのが遅くなった為、 此処まで寝坊をしてしまったのだろうと、彩は思った―――・・・。 そんな時だった・・・・。 コンコン――・・・・ 部屋がノックされ、母親が電話の子機を持って部屋に入ってきた。 「彩、電話よ」 「誰から?」 「榊原さんからよ」 電話の相手は絵里奈の従姉妹である榊原夕鶴かららしい。 しかし、思いも寄らなかった相手からの電話に彩は少し戸惑う。 「え?夕鶴?如何して私なんかに・・・?」 「解らないわ。兎に角、早く代わってあげなさい」 そう言い、母親が彩に電話を渡す。 「もしもし、夕鶴?」 『彩か?』 「うん、ねぇ?どうしたの?」 『そ、そんな場合じゃない!!』 「え?」 『早く、絵里奈が入院している病院へ着てくれ!!』 「ど、どうしたの?」 嫌な予感が彩の頭を横切った。 その後、彩は、夕鶴から信じられない真実を聞く事になる。 『え、絵里奈が・・・・絵里奈が死にそうなんだ!!!だから早く病院へ・・・』 「・・・・う、うそ・・・・」 ボトッと、音を立て、彩は手から受話器を落とした。
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