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その後、彩は如何したか解らなかった――・・・・。
ただ、急いで、支度をして、
絵里奈がいる病院へ向かった事だけは覚えている・・・・。
病院の廊下を走る自分に注意をする、看護婦の言葉も、もはや、耳に入らなかった・・・・。
「絵里奈っ!!!」
「「!!」」
病室に入ってきた彩の声で、その場に居た二人の男女が視線を向ける。
絵里奈の恋人である朝霧透弥と先程電話をくれた夕鶴だった。
「彩ちゃん・・・。
・・・絵里奈、彩ちゃんが着てくれたぞ」
透弥が絵里奈に話し掛ける。
当の絵里奈は、呼吸器をつけ、苦しそうに息をしながら、
それでも、彩の方に目を向けた。
「えり・・・絵里奈・・・・」
「あ・・・・や・・・・」
「絵里奈・・・・っ!」
苦しそうな絵里奈を見て、彩の目から涙が溢れた。
こんなに・・・・痩せて、弱っちゃって―――・・・・。
「きて・・・・くれたん・・・・だね・・・・ゴホッ!!ゴホッ!!」
「絵里奈っ!・・・喋っちゃだめだよ・・・・」
息苦しさのあまりに、咳き込みながら絵里奈は口を開いた。
「彩・・・」
「なに?」
「こ、これ・・・・」
「!これは・・・」
残りの力を振り絞り、絵里奈は彩に貝殻の入った小瓶を渡した。
そう、その小瓶に入っている貝殻は、あの海で拾った貝殻――・・・・。
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