君は自由

第一話

俺が呼び止めるとちゃんと振り返ってくれた。ただ顔がすっごい嫌そう。

「そんな嫌そうな顔すんなよ」

「無理」

なんていうか、あれだ。俺は嫌われてるのかもしれないな。きっと嫌われてるんだろう。

「じゃあずっとその顔のままでいろ」

「な、なんて鬼畜なの？ それともただのド変態？ 私にゴミを見るような目で見られて興奮するなんて……この変態！！」

「色々言いたいが、お前はそんな目で俺を見てたのかよ！！」

話が一向に進まないのは十中八九俺の目の前にいる小娘のせいだと思う。俺もまあまあ悪いと思うけど。

「まさか気づいていなかったの？ それじゃあ私はあなたにひどい言葉を……別にいっか」

「おまっ……」

落ち着け俺。相手のペースにのせられるな。

「よし、話を戻すけど彼氏役ってどういうことなんだ？」

「説明します。実はさあ、明日告白の返事しないといけないんですよ。だから彼氏役を連れていって断るの」

告白ね～。確かに性格は横に置いといて可愛いからな。性格があれだけど。

「ん～別に俺いらなくね？ 別に普通に断ればいいじゃん」

「何を言ってるんだか……あんたさ、カバって自分の身に危険を感じたときどうするか知ってる？」

何を急に言い出すんだ。何か関係があるのか？

「いや、知らないな。どうするんだ？」

「さぁ、どうするんでしょうね……」

「お前は一体何が目的だ？」