第一話

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どうすれば良いかねぇ。 千石は校門を出てからもずっと俺の隣を歩いている。そろそろ俺の家に着いてしまうんだが…… 「ちょっと……あんたいつまで私について来るつもり?」 「俺のセリフだ。かれこれ25分はついてきてるぞ、お前」 「私はついて行ってないわよ。あとお前ってやめてくれない?」 「じゃあなんて呼べばいいんすか?」 「下の名前で呼べばいいっすよ」 あぁ、下の名前か。下の……名前……知らね。 「失礼ですが……名前知ら」 「知らないとか言ったらアゴ外しちゃうから」 「うそ~ん」 お前は鬼か!! 今日初めて会った人の名前なんて知らなくても仕方なくね? つーか。 「どうしたのよ。急に止まって」 「俺ん家着いた」 とうとう俺の家まで同じ帰り道だったな。こいつの家はこの辺なのか? 「ここがあんたの家ねぇ」 「それが何だよ」 「普通ね。もっとこう、スペリングな家に住んでるイメージだったわ」 「普通で悪かったな。じゃ、気をつけて帰れよ(スペリングってどういう意味だ?)」 さっさと部屋に入って寝よう。変なのに絡まれたせいでかなり疲れたからな。 「待ちなさい」 「何だ」 「私の名前は舞よ。一応あんたの彼女なんだから名前ぐらい覚えておいてよ?陵」 「一日だけだけどな。じゃあな舞」 「そうね、バイバイ!!」 なんていうか今の笑顔は……可愛かったな。うん。 なんとなく舞が見えなくなるまで見送ってから家に入る。
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