11人が本棚に入れています
本棚に追加
どうすれば良いかねぇ。
千石は校門を出てからもずっと俺の隣を歩いている。そろそろ俺の家に着いてしまうんだが……
「ちょっと……あんたいつまで私について来るつもり?」
「俺のセリフだ。かれこれ25分はついてきてるぞ、お前」
「私はついて行ってないわよ。あとお前ってやめてくれない?」
「じゃあなんて呼べばいいんすか?」
「下の名前で呼べばいいっすよ」
あぁ、下の名前か。下の……名前……知らね。
「失礼ですが……名前知ら」
「知らないとか言ったらアゴ外しちゃうから」
「うそ~ん」
お前は鬼か!! 今日初めて会った人の名前なんて知らなくても仕方なくね?
つーか。
「どうしたのよ。急に止まって」
「俺ん家着いた」
とうとう俺の家まで同じ帰り道だったな。こいつの家はこの辺なのか?
「ここがあんたの家ねぇ」
「それが何だよ」
「普通ね。もっとこう、スペリングな家に住んでるイメージだったわ」
「普通で悪かったな。じゃ、気をつけて帰れよ(スペリングってどういう意味だ?)」
さっさと部屋に入って寝よう。変なのに絡まれたせいでかなり疲れたからな。
「待ちなさい」
「何だ」
「私の名前は舞よ。一応あんたの彼女なんだから名前ぐらい覚えておいてよ?陵」
「一日だけだけどな。じゃあな舞」
「そうね、バイバイ!!」
なんていうか今の笑顔は……可愛かったな。うん。
なんとなく舞が見えなくなるまで見送ってから家に入る。
最初のコメントを投稿しよう!