一枚目

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大きな大学病院に居る彼女。 不二はそっと、彼女の病室のドアを開く。 彼女の瞼は閉じられている。 眠っている彼女のベッドの隣にあるイスに座り、不二はそっと手をにぎった。 「美空(ミク)…今日もいっぱい写真、撮ったよ」 優しく、優しく包まれた手はピクリとも動かない。 「早く美空にもみせてあげたいな…」 そう美空に向かって呟き、握っている彼女の手を自分の頬にあてる。 美空は眠っている。 それはどれだけ前だっただろうか。 長く深く眠っている美空は、ずっと目を醒まさない。 不二は美空の目が醒めるのを毎日の様に期待しながら病室に足を運ぶ。 けれど美空は目を醒まさない。 彼女は何度話し掛けようと、笑おうと、泣こうと、けっして。 それでも不二は待っている。 彼女が何年も何年も見れていない日常の風景を小さな紙におさめて。 .
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