1,対面

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「はぁ…。あなたが辺銀さんですか。」 「はぁ。まぁ。一応そうですが。」 辺銀よ、ごめん。 せめて一言言っておく義務が確かにあった。 だから、お願いだから、そんな顔で私を見ないで。 「なんというか、先生が書いた人物像じゃ、まったく想像できないと思っていたのですけれど、まったく原稿道理の人物の様ですね。」 「原稿道理の人物、って。僕の何が、この会って少しの間でわかったというのですか。」 「私は編集者という職業を十年以上してきました。人を見る目はそれなりに養ってきてます。」 「だからなんですか?自分の能力は過信しすぎないのが、社会人の心構えだった気がしますよ。先生の原稿道理だった、なんてつまらない評価を下すには早すぎるんじゃありませんか?」 「あなたこそ、社会人になったこともないくせに、心構えを知ったように語らないでください。今の会話と先生の原稿を見れば、先生があなたのことを忠実に描写していることはわかります。社会人をなめないでください。」 「栖関(すせき)さん。あなたが頼むからここに連れてきたんですよ?少しは抑えてください。」 最初から、エンジン飛ばしすぎだから。
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