第弐階

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「なっ!」 投げつけた黒鍵は、杭のように鎖を地面に突き刺した。 そして、突き刺した鎖に黒衣の男が舞い降りる。 「やばいな。」 鴉が電柱に止まるように優雅に立つ男を見て苦識は、呟いた。 (力量が違う。) それは、戦場の経験などでは、無い。 感覚でわかる。 黒衣の男は、戦闘慣れや戦闘能力だけじゃない。 戦闘センス いや、血溜まりの中を生き抜く 地獄を歩き抜ける そんな力を奴は、持っている。 そんな威圧感が、零崎特有の感覚から感じ取った。 「どうした?さっきの威勢は、もうないのか?」 鴉が苦識に向け飛んだ。 両腕を広げ裾からナイフが幾つも出る。 「ちっ!」 飛来するナイフを避け男の下をすり抜ける。 黒衣の男が着地した時には、苦識は、黒鍵をスライディングするように蹴り飛ばし怨憎会苦を手にした。 「そのコートの中は、武器の山ですか?」 「まだまだ出て来るぜ。」 怨憎会苦を構え直し睨みを利かす。 しかし、男は、嘲り笑う。 「苦識さん!逃げるよ!」 二人を動かしたのは、檸檬の言葉だった。 銃声が鳴り響く中、踵を翻して檸檬に近付く。 「逃げれると思うなよ。」 銃弾をトランクで受けながら黒衣の男が言った。 確かに彼から逃げれる筈が無い。 (今、やらないと) 「ついて来て!」 握り締めた拳を檸檬に掴まれ引っ張られされるがままに、檸檬について行った。
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