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五月ごろから、俺は授業にでなくなった。
つっても、社会と理科の時だけ。
「センセーが気に食わねぇ」
とか言ってた記憶はあるが、ただあの33人のヒトダマリに入って居たくなかったと言うのが本心だった。
その時間が来たら、ふらふらと保健室に向かう。
今思えば、それが始まりかな。
保健室には、最初は仮病を使って行った。でも、最終的には、完全なサボり確信犯だった。
サボりが癖になって一週間ぐらいしたある日、保健室に悠という子が来ていて。
同じ学年の、女の子。
確か一年生の後半らへんから、学校に来ていないと言う話だったが、俺には全く関係無かった。
人見知りが激しい俺は、別に話し掛けようともせず、いつもそうしている様に、一人で絵や小説を書いたりしていた。
しばらくすると、保健室の先生、通称みどりんが席をはずし、必然的にその空間に俺と、その子の存在だけになる。
気まずいな。
沈黙は好きではない。
その当時の悠は、明らかに染めた茶色の短い髪を綺麗にセッティングしていた。小さめの体格にも関わらず、すごく大人びて、カッコイイという印象だった。
俺の周囲には、そんな奴はいない。女子という生き物とは、また別の種類の様にすら感じた。
話し掛けようと試みたけど、黒髪メガネの俺には、茶パツに対しての耐性がなくて、なんとなく、畏怖に似た面持ちがあって、尻込みしていたんだ。
なんでここにいるんだろ。
ガッコ来てないんじゃ?
なんて、少し考えてた。
「ねーねー」
耳に入る振動に驚き、おもわず無言で相手を見つめてしまった。
「ん?」
疑問符を付けて、返事を返せたのは3秒後ぐらいだったよ、うん。
「音楽とか何聞く?」
見た目とは不釣り合いの、無邪気な声。
一回話せれば、俺の人見知りは解ける。
仲良くなるのに、時間はかからなかったよ。
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