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同伴で入った篠崎は着替えに行った彩を待って居た。
「お待たせしました」
10分も経たない内に白いミニドレスに着替えて彩が篠崎の席に戻って来た。
「可愛い…」
思わず篠崎の口から声が漏れた。
「ありがとうこざいます、このドレス今日初めて着るの!」
彩は嬉しかったのか、子供がはしゃぐように言って篠崎の横に座わり、たわいのないキャバクラのお客さんとホステスの会話が始まった。
「彩さん、少々おかりします」
彩が座って20分ぐらいたっただろうか、店の黒服が彩をよんだ。
他の席で指名が入ったのだ。
「篠崎さんゴメンね、ちょっといってくる」
彩は申し訳なさそうな顔で言った。
その顔がまた可愛い。
「いいよ、頑張っておいで!」
篠崎は不機嫌な顔もせず、笑顔で言った。
「すいません、おとなりしつれいします、レミです」
彩が抜けた篠崎の横にヘルプの女の子が座った。
「あっ、どうも、よかったら何か飲んで」
「ありがとうございます! すいませ~ん、カシスオレンジお願いします!」
ヘルプのレミが店のボーイにオーダーを頼んだ。
キャバクラでヘルプの女の子にもドリンクを頼んであげるお客というのはなかなか良いお客だ、女の子にも印象は良い。
レミの頼んだオーダーが席に来た。
「すいません、頂きます」
レミが乾杯しようと篠崎のグラスに自分のグラスを近づけた。
「ああ…」
とそっけない返事で篠崎はレミには目も合わせず片手で乾杯した。
レミは目線の変わらない篠崎の視線の先を追った。
そこには別のお客を接客している彩の姿があった。
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