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文化祭を一ヶ月後に控えたある日。
例の転校生がやって来た。
否、やってくる。
今崎は日に日に機嫌がよくなっているようでうざ…
えふん、えふん。
まぁ、王道というものは一通り把握済みだ。
一参考としてな。
取り敢えず転校生には関わらないほうが得策であろう。
面倒ごとは避けたい。
「なぁ、冬樹」
「え?あ、はい
なんでしょう?」
考え事をしていたためかいきなり話し掛けられて少し吃驚したということは俺の心の奥底に閉じ込めておこう。
「朝からアキがいねんだよ
なんか知らねぇか?」
あぁ、なんだそんなことか。
なんだ、こいつってこんな馬鹿だったっけ。
「室宮くん
本当にわからないのですか?」
「は?」
「はぁ…」
だめだこいつ。
ガチでわかってない。
「今崎くんなら校門の方かと」
「あ?…なんでんなとこに…
…あ、なぁなぁ、もしかしなくても転校生がくんのって今日?」
知らなかったのかよ。
普通に此所で生活してりゃ嫌でも耳に入ってくんのにな。
「えぇ、そうですよ」
「なるほど?ってことは校門のとこの左右に植えてあるあの樹のどちらか、か」
確かに。そこならバレずに盗撮できそうだな…
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