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「それで早速だが、キッカを司令室に連れてくるようハルトマン少佐に言われてる。キッカ、着いてきてくれ。」
「了解。…でも、ちょっと待ってくれないか?」
「いいぞ。」
俺は飛燕のそばに立ち、興味深げに観察している整備兵に近づいた。
「こんにちは。新しくお世話になる大和海軍中尉十六夜 橘香です。」
「あっ…どうも、ここ整備士長を務めさせてもらってますフォン=ブラウンです。」
整備兵は俺を振り返って会釈した。
「ブラウンさんはねっ!この戦争がなければフリードリヒ帝国工業大学(東工大みたいな)にいけるくらい頭いいんだよっ!!そんでね、月にいくのが夢なんだよっ♪」
ハンスが俺の横で言った。
「こっ!こらハンスっ!!何言ってるんだっ!?」
「だっていつも言ってんじゃんっ!!」
「いやっ!!あれはだなっ…」
その様子を見て俺はフフっと笑ってしまった。
2人の会話?はフリードリヒ人は堅物だという俺のイメージとは違って妙に面白かった。
「すいません。コイツが言った事は忘れてください。」
ブラウンが言った。
「はいっ…。」
「話を本業に戻しますけど、この機体は新型ですね?しかし、どことなくメッサーシュミットの香りがするな…」
ブラウンは言った。
「はい。御察しの通り、この新鋭機『飛燕』の発動機はフリードリヒの水冷エンジンを真似たものです。」
「そうかですか…それならば整備しやすい。」
「よろしくお願いします。」
「分かりました。」
俺はブラウンに背を向け2人に言った。
「ごめん。待たせた。」
「いや、大丈夫だ。それではいくとしよう。」
俺達は歩き出した。
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