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「まったく…若いな。」
長身の少年の後ろから声が聞こえて少年は振り返って言った。
「若いっていうより、無鉄砲です。空戦でも危ない戦闘をするし…ハンスはフリードリヒ軍人たる…というか、戦闘機のパイロットとしての自覚が足りませんよっ!!ハルトマン少佐。」
「まぁまぁ…」
少年の後ろにいたのは少年達より少し大人びた男だった。
大人びたといっても、やはりその顔には少年らしさが残っている。
「アイツは訓練生時代からあーだからな…お前も知ってるだろ?」
「でもっ!!」
「だからこそさ…」
少佐と呼ばれた男は窓の枠に寄りかかり言った。
「お前がハンスを守ってやれ。そんでお前はハンスに守ってもらえ。互いに短所を長所で補う。仲間を失う事が空では最大の敗北だからな…。分かった?」
「わかりました…」
「よろしいっ。」
男は笑った。まだあどけなさが残る少年の笑顔だった。
「ハンスのところにいきます。」
少年が言った。
「了解…あっ!後…」
「なんですか?」
男は思い出したように言った。
「新入りを司令室まで連れてきてくれ。その後、基地を案内してやれ。ハンスも一緒だといいかもな…それと戦闘時以外はハルでいいよゲル。」
「最初の2つの命令は了解しました。しかし最後の命令は拒否させていただきます…任務なんで。ハルトマン少佐?」
少年は若干、頬を緩ませながら答えた。
「そりゃあ、残念だ…」
「失礼します。」
「おう。」
少年は敬礼をすると去っていった。
男は空を見る。
飛行機が一機、こっちに向かってくるのが見えた。
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